東野圭吾さんの『赤い指』 四年前に電車の中で泣きながら読んだ本

赤い指

赤い指

マッチ(近藤真彦サン)に似た当時の上司・Sサンの勧めで読んだ一冊。
当時とってもエライ人だったのに、頭にネクタイを結んでマッチの曲を踊りながら歌ってくれたSサンは忘れられない。
大事なことは何かをきちんと見極めていた人だったな。
始まりは横山秀夫さんの『半落ち』の話から。
半落ち

半落ち

妻の安楽死を選択した後、一度は死のうとした主人公が目標の時まで生きようとした理由が。
様々にかかわってくる人たちの人物像が深い愛をもって描かれていて、とめどなく泣いた。
心模様を描いた作品を好んで読むようになったのはこの頃からかもしれない。
そして、次に勧められたのが『赤い指』
またまた電車の中で、周りも気にせず嗚咽した。
いつか自分も買って蔵書にしたいと思っていた本が、昨年文庫本で現れた。
赤い指 (講談社文庫)

赤い指 (講談社文庫)

ので、記念に購入してもう一度読んだ。
前回と一緒だ。読み始めたら最後まで読まないと気が済まない。そして、一気に読める本。
少女を殺した少年の両親が、母親は子どもの将来を思い――父親は己の世間体を考え――全てを隠し通そうとする。
その延長線上に許し難い『ウソ』を画策して。
終盤になるまで、この上なく気持ち悪い『(現代の?)親』を見せつけられて・・
それを丁寧に解きほぐしていく加賀恭一郎という刑事の『人』への思いが温かくて。
その人自身の生き様も、胸をえぐるような厳しさと温かさに溢れていて泣いた。
最後の最後に、パンドラの箱を開けた時の様な『希望』が入っていて四年前と同じ様に泣いた。