宮部みゆきｻﾝ『理由』　読み応えたっぷりのヒューマン・サスペンス

東京都荒川区の超高層マンションで起きた惨殺な殺人事件。
事件を基点にした放射線の先に居る人たちの視点から語られる断片。
様々な「家族」が描かれていて、少しずつ混ざり合って、事件の輪郭を浮かび上がらせる。

全ての面に光があたった後の、苦々しい結末を受け入れるのがちょっと辛かった。
壊れた家族とか、繋がりのない家族とか、歪んだ家族とか、そもそも他人の集まりの家族とか――
現代の家族をリアルに描いているのに加えて、家族から逃げ出したい若者の理解しがたい思考回路とかも浮き彫りにしていて。

逃亡者がかばっているものと、真摯に話を聞く逃亡先の旦那さんと逃亡者との会話と、出頭する娘(姉)をいたわる家族。
そのどれもが救いとなり、希望となって最後は泣いた。
完成した大きなジグソーパズルを眺めながら、少しだけあたたかい気持ちになれた充実の一冊(・ω・⁀)

こんなの出てるんだ〜
大林宣彦監督かぁぁ。